ことはみんぐ

演劇、美術、ミステリ、漫画、BL。趣味の雑感。

彩の国シェイクスピアシリーズ第31弾 ヴェローナの二紳士(過去ログ)

公演概要

演出:蜷川幸雄

作:ウィリアム・シェイクスピア

訳:松岡和子

出演:溝端淳平三浦涼介高橋光臣、月川悠貴、横田栄司他

 

彩の国シェイクスピア・シリーズ第31弾 『ヴェローナの二紳士』|彩の国さいたま芸術劇場

 

観劇公演

2015年11月14日マチネ(アフタートーク付き)

とよはし芸術劇場

 

以下、2015年12月2日にTwitterにて掲載した観劇レポとなります。

 

 注意

  • 何の気遣いもなくネタばれしています。
  • アフタートーク付きの公演だったので記事のラストに溝端淳平さん、横田栄司さんによるアフタートークの模様も掲載してあります。

 

ヴェローナの二紳士はまず戯曲を読んでから観劇したのだけれど戯曲では最後のハッピーエンドがかなり無理やりでそこでプローティアスがいきなり二度目の心変わりでシルヴィアからジュリアに気持ちを戻しても、いや、それ普通に通用しないからね?という感じで喜劇こそ悲劇とよく言われるような気持ちを残して終わるのでまあどうやってもそれハッピーエンドじゃないでしょ?と思わず突っ込みたくなるのだけれどこれがどういうことか芝居として仕立てられた瞬間たしかに喜劇になっていた。喜劇こそ悲劇的?いや、これは観客を本当に楽しませる素晴らしい喜劇だ。本当に面白かった。

 

そして今回はとても席が良かったです。すべては発売日に劇場に並んでくださった方のおかげです。ありがとうございます♡

前から4列目のD列センターブロックの下手端から二つ目の席に座らせて頂いたのだけれど、最初のシーンからそのセンターブロックの4列目D列の下手端側通路と上手端側通路にヴァレンタインとプローティアスが立って芝居をするのでヴァレンタインの高橋さんがほぼ目の前にいて見上げながらの観劇から始まったのです。すごすぎる。しかもヴァレンタインだけじゃなく、上手側にいたプローティアスがそのD列の観客の目の前を通路があるわけでもないのにむりくり通り抜けてきて数席上手側で止まり、ヴァレンタインとしばしやり取りしてまたむりくり歩き出して目の前を通過し、今度は下手通路でプローティアスが一人しゃべり出すという状態で本当に驚いた。さい芸のときはそのやり取りをもう少し通路らしいところでやっていたそうで、大阪公演から客席のあいだを通り抜ける仕様に変わったようで4列目すごいよ!とわけも解らずおすすめと祝福を受けて見に行ってはいたのだけれどまさかこんなことになっているとは思わず本当に驚いたと同時にとても幸福な席だったと今も実感している。

 

 

そのあともプロティとあとから来たヴァレンタインの従者のラーンスとのやり取りも最初のヴァレンタインとプロティとのやりとりと同じようにD列を挟んでしていて、その際にプロティがチップとしてスピードにコインを投げるシーンがあるのだけれどそれが最初失敗してスピードが巧くコインを受け取ることができず、アドリブってことになるのだろうけどそのときプロティがコインを拾いにいくスピードを窺うように見ながら体を傾けて小さい声で大丈夫かな?て呟いていて、それすらもプロティが呟いてる!と感じて芝居をしている以上当然なのだろうけどこの人はプロティだ、すごい!(こなみ感)と思った。そういう部分はジュリア役の溝端くんにもとても感じて彼は客席の通路を通って後ろの扉からはけていくシーンがあったのだけれどその後ろ姿すら完璧にジュリアで観客の目に触れるあいだはずっと完璧なジュリアを演じていた。ただ、ヴァレンタインの高橋さんも本当にとても素敵だったのだけれど、彼はむしろヴァレンタインと演じている本人の区別があまりなさそうな感じがした。もともと持っている彼の明るさみたいなものがヴァレンタインの持っている陽性と巧く合っていて本人が楽しんで演じられればヴァレンタインとしても気持ちよく楽しく役をこなせそうな感じだった。ヴァレンタインの高橋さんもD列を挟んで自分の従者スピードとやり取りをする場面があるのだけれど、その時にスピードがヴァレンタインを表して恋をしているときにどういうふうにしているかというのを並べ立てそれがヴァレンタインにも当てはまっているというようなやり取りをする。そのとき、スピードがあげる例を頷いたり、そうかな〜?とか呟いて首傾げたりずっと小さくリアクションをとっていてそれもおそらく近くでないと解らなかったと思うのだけれどそういう細かい芝居もすごくナチュラルで素の高橋さんのようにも見えるしヴァレンタインでもあってなんだかとても自然な演技をしているようだった。

 

そして、この芝居、ヴァレンタインの役目がかなり重要だと思った。ヴァレンタインのあのばかな明るさがあることで、喜劇こそ悲劇的な戯曲を本当の喜劇に持っていくことが出来ていると思った。あのそこ抜けたおばかな明るさが、ラストプロティを追いかけて男装までしてミラノにきたジュリアとそんな彼女と久しぶりに真っすぐ向き合って自分にはシルヴィアではなくやはりこのジュリアが必要だとかなり自分勝手に思い直すプロティとを仲直りさせてくっつけさせ祝福することが可能だったのだと思った。ヴァレンタインがいうならそれでいいか、とプロティのあんまりな心変わりもそれでもプロティが好きだというジュリアのけなげというには度を超している気持ちを違和感なく観客に納得させる力があった。そういうキャラクターとしてヴァレンタインを存在させたことがこの芝居を喜劇として成功させた理由の一端だったと思う。

 

そして、豊橋公演の前日に催された戯曲の翻訳者である松岡和子先生によるプレトークでそのヴァレンタインのあほうな雰囲気を最初に印象づけるヴァレンタインのミラノでの最初のシーン、シルヴィアに本当はヴァレンタイン本人への手紙を書かされたのにそれが自分宛だとまったく理解してないときの芝居(舞台の真ん中のベンチに座ったり、ちょっと躓いたりなんだかもじもじしてるところ)が、アントニオとミラノ大公の二役を演じられた横田栄司さんの提案であのばかさ加減になったというような話を今回一緒に観劇させて頂いた方がプレトークを聴きにいかれてそういう話を松岡先生がされていたとお聞きしたので今回の喜劇としての演出の一端は横田栄司さんもになっていらっしゃったのかもしれない。それに、同じくプレトークで松岡先生が普段、自分の書いたせりふを変えてアドリブをされるのはやはりあまり嬉しくはないけれど横田さんがされるのはとても気持ちがよいというようなことをおっしゃっていたとお聞きし、また、公演後のアフタートークにも登壇されていた横田さんがアントニオのような少ししか登場しない役は台本にもあまりト書きがなく、自由にやれる部分が多いからとかなり芝居を好きなように楽しんでやられていたようでした。

 

横田さんが登場するシーンは本当にどれも楽しくてご本人もおっしゃっていましたがすごく楽しんでノリノリでされていたようです。笑わせることを完全に前提にして芝居をされていた感じで松岡先生がおっしゃっていたというせりふを変えられるという部分はおそらくせりふの語尾のことだったのかなと思う。にゃーとか、んふふふとかとても可愛かった。そして、もうひとつ横田さんで感じたのが横田さんは二役を演じられていたのだけれど、最初に少し出てくるアントニオとミラノ大公が全く別人に見えたことがまたすごいなと思いました。アントニオのほうが少し若くてミラノ大公はおじいちゃんだった。声がどちらの役も違っていてしゃべりのトーンも違って年齢の差が巧く現れていた。同じ人が演じていることは解っているけれど全く違う存在になっていたので決して二役を混同するような感覚がなかった。
そして常に白目を向いていたシューリオとのやり取りがとても楽しかった。これもさい芸でみた人の話によるとやっていくうちにどんどんオーバーになっていったようでシューリオがハンカチ食べてそれを大公が口から引っ張り出す芝居もたしかアフタートークでもシューリオ役の河内大和さんがかまってちゃん的にアピールしてくるからそういう芝居になったというようなことも話されていて蜷川さんの演出だけれど決してすべてを蜷川さんがきちんと決めてやる芝居ではなくカンパニーみんなで作っている芝居なんだなと実感してそれもとても素敵だと思いました。

 

さて。そろそろジュリアのことに触れなければ。ジュリアはジュリアだった。本当にジュリアでしかなかった。もう最初からほんとにすごく可愛かった。侍女のルーセッタに甘えてやきもきしている姿もこういう時代のお嬢さんという感じがしてまず女性を男性が演じるというラインを軽く越えてきちんとジュリアを演じていた。そして前述したが、観客の目があるところではたとえ後ろ姿だけでもその歩みまですべてがきちんとジュリアで舞台上の大きな鏡に映る上手側の通路をしずしずのぼっていく後ろ姿が本当に印象に残っている。それからこれは私の勝手な感覚だけれど、以前、溝端くんが日曜日のお昼にやっているメレンゲの気持ちに出ていた際にMCの一人である尾上松也さんにトークの一部として女形の動きをレクチャーされていたのだけれど本当にそれを取り入れてるのかな、と感じる部分があった。プロティと並ぶ際に少しかがむというか自分をプロティよりそっとさりげなく小さく見せるような感じで演じていてそういうところも勉強して頑張ったんだな、と思わずほろっと思ったりもした。それからなにより本当にすごいと思ったのはジュリアが男装をしてセバスチャンになってから現れてからだ。セバスチャンがたしかに女の子が男装している男の子だった。決して溝端淳平に戻っているわけではない。ジュリアがセバスチャンになっていてセバスチャンはジュリアだった。文章にするとなんだかわけの解らない状況になるけれどその入れ子状態のジュリアが男装してはいるけれどむしろ女の子でわざと声を低くさせながらところどころで思わず女の子な自分に戻ってしまうという演技が入るたびに可愛くて本当にとても可愛かったし、溝端くんは本当にジュリアになっていると思った。そしてセバスチャンとして登場する最初のシーンでジュリアは宿屋の主人とともに下手側の通路を下りてくるのだけれど、これもまたものすごい良席のおかげでほぼ真横あたりでその芝居を目にすることが出来た。舞台にプロティに気づくとセバスチャンに扮したジュリアが恋い焦がれたような眼差しでプロティを見て思わず手を伸ばすような仕種をしていた。宿屋の主人と通路に座り、始まるプロティの愛の歌を聴くわけだけれど本当ならばそれは自分に向けられるはずがなぜかシルヴィアへと向けられていて悔しくて哀しくてなんでそんなことになっているの!?ていうお芝居をちゃんとしてて舞台ではプロティが歌っているし、少し後ろではジュリアが目にいっぱいなみだを溜めているしでどっちを見れば良いのか解らない!というしあわせな戸惑いのなかでの観劇になった。プロティの歌が終わるとジュリアと宿屋の主人がまた少し下りてきて今度はほぼ真横で芝居を始めた。プロティが切々とシルヴィアへの愛を語るところではもうなみだがずっと流れっぱなしで一列前のC列センターブロックの下手端の座席のひとによりかからんばかりになりながらB列の座席の背もたれの上の部分をぎゅっと掴んで本当に切なそうに泣いていてもう舞台上のプロティとシルヴィアどころではなくジュリアに釘付けだった。ちなみに。このC列下手端に座っていた方とは休憩中と観劇後に少しお話をする機会があり、その方は溝端くんがお好きで観劇に来ていらしたようなので1ミリの距離で溝端くんを堪能されたようでとても素晴らしい演劇体験をされていました。とそれはともかく、そんな素直ななみだを流してしまうジュリアが本当にとても可愛くてそして全く溝端淳平くんを意識させない演技で本当にとても良かったです。しかし、このシーンの最後になぜかすぐ横くらいからいびきが聴こえてきてえ!?下手サイドブロックのだれかまじで寝てる!?と思ったらそれが下手サイドブロックの4列か5列目の端っこに寄りかかっていつの間にか寝ていた宿屋の主人で本当にお客さんが寝てるのかと思ってすごく驚いたというオチがつきます。気づいた瞬間、ジュリアはかわいそうなのにびっくりするわ、宿屋の主人で安心するわで思わずまた笑いへと持ってかれてしまった。しかしこうやって感想を書いているとあのいびきはただ観客を驚かすためだけに合ったわけじゃなかったのだなと思わせるものがある。あのいびきで喜劇であるはずの芝居が悲劇へと思わず傾きかけたジュリアの哀しみをうまく中和していたのではないだろうか。そのあともジュリアは哀しみを引きずっているけれど決して観客の心も哀しみに沈みこむことはなく、芝居は続いてシルヴィアの逃亡というクライマックスへと走りだす。

 

そしてもう一人の女性役メインキャストであるシルヴィアだ。もう彼女は一番最初にすべてのキャストが通路を下りてきたときからまとう空気が違った。美しさもだけれどすごく姿勢がよくて歩きが決して遅くはないはずでちゃんと列を乱さずみんなと同じ歩調で下りてきているはずなのにどこか女性らしい歩幅の小ささに由来するゆっくりさみたいなものを感じさせてシルヴィアの月川さんはすでに最初から大物女優の貫禄だった。そして常に凛としているのにやっぱりどこか儚げで美しかったし、なんだかとてもやさしかった。この話のなかではシルヴィアは良心でまっすぐで彼女が決してプロティを受け入れずヴァレンタインだけを見つめていることがまあ戯曲通りなのかもしれないけれど戯曲以上に真っすぐな感じがしてとてもよかった。戯曲を読んだだけだとシルヴィアがジュリアを裏切っているプロティを嫌う気持ちのほうが強いように感じた気がしたのだけれど、芝居の方はたしかにその気持ちをあるのは解るけれどシルヴィアがヴァレンタインに焦がれる思いの方が強かった気がしてそういう部分がシルヴィアを一層魅力的にしていたような気がする。

 

そして再びジュリアだ。
ジュリアがシルヴィアのもとへプロティの従者として遣いに出されるシーンが終盤にある。そのときのジュリアのいじらしさがまた可愛い。今よりずっときれいだったとか自分のことをちゃんと可愛いと思ってるあたりもまた可愛い。それにところどころでセバスチャンだから男の子でいなければならないのに内股になって女の子が出ちゃうという芝居が入るのだけどそれもすごく可愛くてその度になんだかしあわせな気分だった。でも、プロティに裏切られてそれでもプロティのためにプロティが好きなひとのところへ来ているというシーンなのでその切なさに思わずうるっときた。ような気がする。

 

さてそろそろラストだ。
しばらく追放されて姿を見せなかったヴァレンタインが蔓の葉をまとって現れる。ヴァレンタインは本当にこの芝居において常に陽性だ。彼がいることでやはりこの芝居は喜劇を喜劇として存在させてくれていた。久々の登場シーンである森のなかのシーンでもそうだ。こいつおばかだな〜と観客をすぐに和ませる。けれどやっぱりちょっと悔いて見せたからって簡単にゆるしちゃいけないよな、と冷静になると思わなくもない。いや、戯曲を読んだときには非難囂々だったのだが、芝居だととても唐突にシルヴィアを譲ると言い出す感じがやはり喜劇的で思わず気が遠くなって倒れるジュリアだけじゃなく、シルヴィアにも本当はヴァレンタイン自身にも不幸な流れなのだけれどそこにこだわる間を観客に与えないで話はテンポよく進む。そのテンポも重要なのかもしれない。ジュリアが倒れてみんなが心配して指輪の行き違いでジュリアが自分の正体を明かすことになるのだけれどそれがすごくスムーズにテンポよく進む。それでヴァレンタインは前言撤回すらせずみんな元の鞘に納まってハッピーエンドだ。ヴァレンタインの変わり身もものすごく早いが彼はただ真っすぐで屈託がないからそれもまったく気にならないのだろう。
無事ハッピーエンドで二組のカップルがそれぞれキスしておしまいだ。
最後のキスはシルヴィアヴァレンタイン組はちゃんとはしてなかったかもしれない。角度的にお客さんには見えない感じだった。ジュリアプロティ組は私の席からはよく見えない角度だったけれどほかの方のツイートから最後のキスもちゃんとしていたのかな、と。

 

そしてカテコ。
カップルそれぞれが挨拶してはけていくときですらなかよしカップルを演じたままでカテコの最後の最後まで溝端くんはずっとジュリアだった。本当にジュリアでしかなかったのでそれがすごく印象的だった。

しかもその後のアフタートークに現れたときはもうすでに溝端くんだったのでさすが役者と思った。

 

それから書き飛ばしてきたことをいくつか。

まずスピードとラーンスのコンビがすごくいい。ラーンスとても良かったです。犬は全然いうことを利かなかったのでかなりアドリブが入ってましたがそれもちゃんと笑いを誘うアドリブになっていて犬がいうことを利かないのも芝居のうちになっていた。それにラーンスを演じられた正名僕蔵さんの少し冷めたような距離を取った芝居が道化役としてぴったりでラーンスが出てくると笑いも誘うけれど少し芝居が引き締まる感じがあってよかった。
ついでになぜかスピードとラーンスが韻を踏みながら言葉遊び的にやり取りしてたときだったかぶちゅっと勢いでキスをするところがあってそれも面白かった。あれは普通に毎回していたのだろうか?

それからジュリアとシルヴィアが衣装はちゃんと女性ものだけれど胸になにも入れてなくてぺったんこだったのがよかった。
アフタートークの際に途中から乱入された月川さんがおっしゃっていたけれど男性が女性を演じる上で大事にしていることは心も体も女にならないことだそうでそれがすごく印象的でまるで能役者の方が女性や天人を演じるときの心構えのようだと思ってすごく感銘を受けて共感もしたのだけれどそういう意味としても女役メインキャストのおふたりが胸をぺたんこのまま演じていたことがとてもよかった。

あと、少ししかでてこなかったけれど、シルヴィアの侍女を演じられた方がとても印象的だった。おそらく今年のハムレットのときに劇中劇で妃を演じられた方と同じ方だと思うのだけれど、彼も第二の月川さんという雰囲気ですごくきれいだった。

それから、横田さん扮するアントニオが従者のパンシーノを呼ぶ際に一度パンシーノではなくカッシーノと呼んだように聴こえたことがあった。あれはもしかして聴き間違いではなく横田さんが噛んだのかもしれない。

しかし横田さんは本当にとても楽しそうに演じられていた。脇で遊べる役できっと演じていてもとても楽しかったのだろうなと思った。すごく面白かった。

さて。長くなりましたが、本当におもしろいお芝居でした。喜劇は喜劇こそ悲劇ではなくちゃんと喜劇でした。本当に面白かった!


そして長いついでにアフタートークの模様を少し。
まず横田栄司さんと司会の女性が登壇。溝端くんはメイクを落として着替えるのに少し時間がかかるということで遅れての登場になりました。
ちなみにこの日、横田さんや溝端さんとも親しくされている最近お茶の間でも人気な俳優さんがいらしていたので(実は私がその方と遭遇したのは今年二回目でした。一回目は大阪で観劇したハムレットでそのときは一列前の二席左の席に座ってらっしゃいました。なんという偶然!笑)その方にも軽く話を振りながらアフタートークが始まってまずは横田さんがかなりの本数シェイクスピア劇をやっていますね、という話からだったと思います。そこで客席の先輩俳優さんほどではないと謙遜されて実はいらしてるんですという感じで客席から拍手が巻き起こったはず。たぶん。また、シェイクスピア劇のなかのなにかの役名が横田さんも司会の女性も出てこなくて客席の後ろの方から助け舟をだして役名を答えてくださって再び拍手。ちなみにその方の席を決める際に通路側にはしないようにしたかったと司会の女性(おそらく劇場の舞台監督的な方で横田さんはその俳優さんとも親しい関係にある女優もされている方)がおっしゃっていてなぜなら通路側だと芝居の演出上演者が通路を通るシーンが多いためきっと役者にちょっかいをかけるだろうと見越していたからだったようなのですが、あいにくほかに席がなかったようで結局通路側で遅れてきた溝端くんに淳平淳平って声かけるのやめてもらえますか?といわれていました。溝端くんは今回、その俳優さんに個人的に自宅までお邪魔して稽古を付けてもらったという話もされていて横田さんも稽古の段階でシェイクスピア劇ということもありその方ならどう演じるかということを常に考えていたというようなことをおっしゃっていました。ちょっかいはかけてくるけど芝居には真剣で本当に尊敬されている方なんだなと改めて思いました。でもあまりその方のほうに話をふると今は自分はただの客だということなのかこっちにばかり話をふるなというような感じにされてたのでアフタートーク後半は登壇者だけでの話になりました。
女性役を演じるということについてさすがに横田さんはないですよね、と振った司会者に横田さんは女性なのか男性なのか怪物なのか解らない役ならばやったことがあると寺山修司の戯曲青ひげ公の城の話を少しされてそのときに主演だった三上博史さんがすごかったというようなことを話されていました。また、途中から月川さんがシューリオ役の河内さんの腕を掴んで舞台に出てきてトークをしている三人の後ろを通り過ぎるというハプニングがあり、しかもせっかく登壇してくださったのになにも言わずにまずはスルーで下手から上手へすーっと歩いていってしまい、上手にはけたあと月川さんは戻ってきてじゃあちょっとはなしてけば?というような感じで急遽参加されてさすがに遠慮されたのかしばし上手に留まってでてこなかった河内さんも結局出てきてそのおふたりまで加わってのトークになり、ひとりずつ挨拶するようなところで月川さんは自ら進んでセンターに立ち、真ん中が大好きと言いながらなんでこんなことさせるの?と天然な発言をされたりと話し方もふわふわしていてなんだかとても面白いしすごく可愛らしい方だった。そして上記もしたけれど月川さんが女役をやる際に心がけていることとして女にならない。女を超越した存在、娘役という性別になるというようなことをおっしゃっていてそれが本当に印象的だった。
それから横田さんが自分から話振ってもなぜか気がそれて人の話を聴いていないみたいなときもあって気もそぞろになる瞬間が可愛かったです。
その横田さんの芝居のことで司会者さんがかなり遊んでますねと振った際にはこれも上記したけれどアントニオのように少ししかでてこない役は台本にあまり細かいことが書いてないから自由にやれるからかなり自由に楽しんでやっていたというようなことをおっしゃっていた。そして今回は溝端くんは本当に千本ノック状態でぼろくそに言われながら蜷川さんに稽古を付けてもらっていたのだそうだが、横田さんはめずらしく蜷川さんから怒られることは少なかったとおっしゃっていた。さすがに横田さんくらいになるとあまり蜷川さんも怒らないんですか、というような司会者さんの質問には最近はそうですね、いやハムレットまでぼろくそでしたけどみたいな感じに答えていたと思います。ハムレットまでは怒られ通しだったけれど今回はそうでもなかったと。
アフタートークはこんな感じでしょうか。思い違いや話が前後してたりしますが20分予定だったようなのでさほど長い時間ではありませんでしたがアフタートークもとても面白かったです。

以上。ヴェローナの二紳士の雑感でした!長い!でもほんんんんんとうに面白かった〜!!!!

 

そして蛇足。ヴェローナ見に行った翌週の波瀾爆笑で溝端くんをちらっと見かけたときにジュリアだ!!!!て、なった。ほんとにジュリアに見えてちょっとびっくりした。