ことはみんぐ

演劇、美術、ミステリ、漫画、BL。趣味の雑感。

映画 3月のライオン(前編)雑感

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3月のライオンは原作をずっと読んでいた。とても好きな作品だ。映画化と聴いて主人公の桐山零くんが神木隆之介さん、島田八段が佐々木蔵之介さんと聴いて、だよね、だよね、やっぱそうだよね!(特に島田さん!)となったのでキャスト的には特に文句もなく受け入れられた。

好きな作品が映像化されるとそのキャラにイメージが合わなかったり、原作の世界をちょっと誤解して勝手に物語を作られたりと原作が好きなら好きなだけ映像化されてしまうと受け入れられないということがままあるけれど、今回は基本的に原作に物語がよく添っていてこの漫画の世界がとてもよく作られていたと思う。

 

キャストもイメージがものすごく違うという人はいなくて個人的には少し心配だったのが香子役の有村架純さんがあまりにも可愛らしくて優しそうな雰囲気なので香子の持っている激しさや怖さが本当にでてくるだろうかというところと、宗谷名人役の加瀬亮さんがこの方はすらっと背の高いイメージがあるのでサイズ的なところでどうかなという部分だった。

けれど香子役の有村さんは原作のなかで描かれている零くんと香子の関係のなかで恋愛とも規定できない、それでもやはり姉弟ではない男女としての愛憎という部分が映画ではあまり強くにおって来なかったので香子の激しさや厳しさ怖さが少しマイルドな有村さんの香子にうまくはまっていて見る前に考えていたあまりに可愛過ぎて怖さが足りなそうという心配は無縁だった。

そして宗谷名人の加瀬亮さんはもう出てきた瞬間から確かに背は高いし顔は丸くないし原作の絵と似てるとは思えないのにもはやそこにいるのは宗谷名人でしかなかった。

逆に原作の絵からいってももうこれは島田八段でしかないでしょう!と思っていたのが佐々木蔵之介さんだったのだけど、やはり原作のなかで一番!!とは言い切れないけど概ね一番好きな登場人物である島田さんには思い入れも強すぎるようでさすがに寸分違わぬ島田さん!というふうには思えなかったというのが正直なところだった。胃痛をあの具合の悪そうな顔から醸し出すように演技で表現するのはおそらくすごく難しいのだろうなと思った。胃が痛いということは確かに表現されていたけれど具合が悪そうな感じが少し薄かった。もっと原作の島田先生は胃が痛いんだよ!!!と。でもやっぱり島田八段をやるなら佐々木蔵之介さんだと思っていたしキャストとしては完璧だった。

そして、キャストのなかではスミス先輩役の中村倫也さんがとても良かった。とても似合っていたしメインキャストではないけれどすごくいいところにいて私は中村倫也さんが役者さんとしてとても好きなのでやっぱりとても目を惹いた。良い役をもらってるな〜!ととても嬉しかった。おかっぱ頭をこめかみあたりを触って直してるところとかすごく可愛かった。

しかし、物語の流れ上、原作と話の順番が違っている部分があってそのなかでスミス先輩が桐山くんと飲みに行ったあと桐山くんだけ未成年なのに飲まされた上に路上に捨て置かれる的なシーンが入り込んでいてこの映画の描き方だとまるでスミス先輩が桐山くんを飲ませた上に捨ててったように見えたのでそれだけは違うんだ!違うんだよ!!と声を大きくして言いたくなった。原作で桐山くんが先輩棋士に無理やり飲まされて打ち捨てられて道でうずくまってるところをあかりさんに拾われるシーンで無理やり飲ませたのはスミス先輩じゃないのでそこは誤解しないでほしいな、と。スミス先輩は全面的に善人とは思わないが悪いやつじゃないし、結構良いやつなんだ!

あと、林田先生役の高橋一生さんもとてもはまり役だった。林田先生好きなのでとてもうまい具合に好演してくださってとても良かった。

今作は前編ではあるけれど物語として若き棋士桐山零がプロとしての一歩を踏み出したちょうどいい感じのところで終わっているので前編だけを見ても問題なく楽しめるようになっていたのもよかった。

また、後編ではひなちゃんのつらいところとかそのあとの零くんが爆弾発言始める川本家の一大事とかまできっちりやりそうなのでちょっと見るのが怖いような気もするけどちゃんと見にいければいいなと思う。

 

原作は今のところ12巻までで最初の方で島田八段表紙を飾ったときに裏表紙があかりおねいちゃんだったときから島田八段とあかりさんがくっつけばいいのにな〜!と勝手に思っていたのでようやく12巻の最後で島田八段とあかりさんが出会うとこまできたので色々勝手に血迷ってる桐山くんのあかりさんとだれか彼女と彼女の家族がしあわせになれる人生の伴侶捜索にうまいこと島田さんが組み込まれていくことをとりあえず願っている。

原作も良いよ!映画も悪くなかったけどやっぱり原作が大好きだ〜!